クロ

ウチの近所に野良猫がいるんです。名前はクロ。
毛が全身真っ黒なので、勝手に名付けました。

でも多分、ホントの名前は別にあるんだと思います。
野良猫といっても、最近は隣のアパートの１階にあるスナックに住み着いていて、
スナックのおばちゃんが、たまに、「……おいでぇ」と名前らしきものを呼んでいるからです。

よく聞き取れないんで、分からないですが、私の中では、やっぱりクロ。

クロはかわいいんですよぉ。
ウチの子がいてなかったら、間違いなくウチに迎え入れてましたねぇ。
名前を呼んだら、うっとりした顔してくれるし、
指を差し出したら、クンクン鼻を寄せてくれるし、
それでまた、すっごい美人さんやし…。

猫の美人って何やねん！と思われるかも知れませんが、猫好きには分かるんです。
ちなみに、ウチの子はめっちゃ美人です。そして、もう一匹はめっちゃ男前です。

しかし、黒猫って品があっていいですよね。私は黒猫が大好きなんです。
まぁ、トラ柄でもヒョウ柄でもブチでも白猫でも、どんなんでも大好きなんですが…。

そのクロなんですが、最近まったく姿を見せなくなったんです。
基本は野良なんで、どっか行ったりすることもあるんかなぁと思いながら、
ちょっと心配やったんですが、しばらくして、その理由が分かりました。

ある日、ウチでボケェ～としてると、外で、ミーミーミーミーと鳴き声が聞こえてきたんです。
なんだなんだと、ベランダに出て下をのぞいてみると、
めっちゃ小さい子猫が４匹ぐらい固まって鳴いてるんです。
そばにクロの姿がありました。

クロはお母さんになってました。
しばらく、どっかで子育てしてたみたいですね。
でも、クロの子なのに、４匹ともみんな毛は黒ではなく、サバトラっぽい感じなんです。
お父さんがそういう模様なんやろうか。

近くで見てみようと、そばまで行ってみましたが、みんなビビリで、逃げちゃいました。
でも、ちょっと離れたところから、おそるおそるこっちを見てるんです。
毛は違うけど、美人のクロの子なんで、みんなカワイイんですよぉ。
あ～、みんなまとめて連れて帰りたいわぁ…。

まぁ、欲望に負けそうになりながらも、そういう訳にもいかないんで、
ちょっと離れたとこから、孫を見るおじいちゃんのように、
その子たちの成長を見守りたいと思います。

ほんで、なんとかして、ちょっとでも仲良くなりたいなぁ…。
名前を呼んだら、みんなうっとりした顔してくれるくらいに。

そうだ、それにはまず名前を決めないと（勝手に）。

よし、これから君たちは、チビチビ１号、チビチビ２号、チビチビ３号、チビチ…。

たておでした。