三角の赤いやつ
チェシャねこです。
運転が好きです。
地元では車がないと不便だったこともあり、ハタチから乗っているかなりのベテランドライバーです。覆面に追いかけられた経験もあります(えへへ)。
独身時代、仕事は毎日車で通勤。曜日ごとに目的地が異なるため乗る距離も違うのですが、近くて下道50キロ、週に二日は高速を使っていました。
その日はいちばん遠い目的地。高速だけで100キロです。
当時私は軽自動車に乗っていたため、高速での運転を心配する父が、その曜日に限っては自分の車と交換してくれていました。
さて仕事が終わった帰り道、時計は21:30を回っています。
ほとんど山間のまっすぐな高速道路、真っ暗な中を父の車はすべるように進みます。
「さすが3ナンバー、馬力が違うわ」と機嫌よく運転していた私でしたが、いちばん長いトンネルの真ん中あたりに差しかかったところ…
突然のエンジン停止。
うそでしょ!!!…アクセルを踏んでも進まない。
車はすう~~~~~っと減速して止まってしまいました。
夜遅くともなると大型トラックもガンガン走っているのですが、不幸中の幸い、後続車はそれほど近くにいなかったため、すぐに追突される事態にはなりませんでした。
しかしもちろん、このままにはしておけない。
早急に故障を知らせなければなりません。
トンネル内の非常用電話は200mおきに設置されているため、止まった場所からもすぐ認識できました(今でこそ、スマホによる道路緊急ダイヤル「#9910」(無料)がメインとなり、非常電話が運用停止となっている路線もあるそうですが、20数年前はこちらがメイン。実際この時ガラケーはつながりませんでした)。
左側の側道に上がり(少し高い位置にあったと記憶しています)、非常電話の受話器を上げれば管制センターにつながる。
とにかくハザードは点けて…とスイッチを押し、トラックが一台、よけて行ってくれたのを確認して車を降りたのですが。
気づくと電話は対岸。
なぜ!!!
運転席を降りた私は、まわりこんで助手席側から側道にあがらなければならないところ、気が動転していて隣の車線を向こう側へ渡ってしまっていたのです。
私は再び迫るもう一台のトラックをやり過ごし、ようやく非常電話にたどり着きました。
電話口の係員の方はJAFの加入の有無を確認し、警察と自宅にも連絡を取ってくれました。
ほどなくして現れた隊員の方はテキパキと指示を出され、私は車に戻っていちばん近い料金所まで、乗ったままレッカーされることになりました。
停止表示器材(あの三角の赤いやつ)を設置していなかったため、警官の方からは切ないお言葉が…
「たいへんなところ悪いけど、故障車両表示義務違反なんで罰金ね」と。トホホ…
そして詳しくは思い出せないのですが、隊員の方の質問にちょっと笑ってしまったときは(若かりし頃の私、めちゃくちゃ不安な中、助けに来てくださってホッとしたのだと思います…)、真剣な表情でピシャリと咎められました。
ここは高速道路。いのちの危険もあるのです。
斜めになってレッカーされながら、自分の態度に大反省でした。
ところで車の方…
父は車好きです。そのため数年おきに新車に乗り換えていたのですが、私に貸してくれた車は中古車。珍しく父の乗りたい車が新車でない型だったのでした…。
「やっぱり中古車はいかん!」「良かれと思って(車を)交換したのに…」と落ち込む父。
確かに少し怖い思いはしましたが、娘の安全を思ってのことだったので私はありがたいばかりです。
最悪の事態にはならず、貴重な経験をした夜でした。
ドライバーのみなさん、万一のトラブルに備え、あの『三角の赤いやつ』は常に車に装備しておくようにしてくださいね!

