一目惚れ

みなさんは一目惚れをしたことがあるでしょうか?

実は先日、お昼を食べに近所の食堂に向かって歩いていた時のこと、
細い道をT字路にさしかかったその瞬間、
右側から歩いて来た子と、ばっちり目が合ってしまいました。

「かっ…、かわいい!」

一瞬、私の中の時間が止まり、稲妻が走りました。

「こっ、声をかけたい…。そしてできれば、触れてみたい…」

そんな欲求に駆られましたが、ちょうど近所の人たちが、すぐそばで井戸端会議をしていたので、
なんとなく勇気が出ずに、声をかけることができませんでした。

これまで何度も通っていた道だけど、あんな出会いは二度とないかも…。
その日のお昼ゴハンは、少し苦い味がしました…。

そして次の日、またお昼を食べに行くため、同じように細い道を歩いていました。
ゆるやかなカーブを曲がり、あのT字路が視界に入って来たその時、
なんと、右側から左側へ、てくてく歩いて行く子が目に入ったのです。

「あっ、昨日のあの子だ…、間違いない!」

昨日偶然見かけた子と、次の日にすぐまた会えるなんて、
これはもう運命としか思えない…。

その日は井戸端会議をしている人もいなかったので、
そこには私とその子しかいませんでした。

「いきなり声をかけると怖がって逃げられるかなぁ…」

そんな不安もありましたが、でも、今日こそは後悔したくない。
勇気を振り絞って声をかけてみました。

「おいで、おいでぇ」

すると、その子は怖がるどころか、ちょこちょこと近づいて来て、
足にすりすりしだしたんです。
そして、ノドをゴロゴロと鳴らしながら私のそばでくつろぎだしたんです。

「あ~、めっちゃかわいい!」

一目惚れした子が、「実は私も好きでした」みたいな、
そんな幸せな時間に包まれてしまいました…。

困ったぞ…。お昼ゴハン抜きにして、この子とずっと遊んどこうかな…。
いや、さすがにそれはまずい…。でも、もうちょっと遊びたい…。

しばらく遊んでから、名残惜しかったんですが、ゴハンを食べに行きました。
そして、帰りも同じ道を通ってみたんですが、もう、その子はいませんでした。

でも、またすぐに会えるよね。

あのT字路を通るのが、お昼の楽しみになっちゃいました。

たておでした。