3人の少年

こんにちは。ちげです。

ある日曜日の夜10時半。
私は鈍行電車に乗って家路についていました。

途中の駅で男子高校生3人組が乗車。塾の帰りでしょうか。
3人は座席につき,少年Aはスマートフォンでゲームをし,
少年Bはマンガを取り出し,少年Cは隅の席で眠り始めました。

そして1駅過ぎ…2駅過ぎ…。

少年C突然の嘔吐。

金曜の夜など,酔っ払いのサラリーマンが嘔吐している姿をたまに見ますね。
もしくは何気なく入った車内に吐瀉物が残されていることもありますよね。
「そんな事もあるよね。体調悪かったんだね。」と様子をうかがっていました。

少年A「お前何やってんねん!」
少年B「おいおい,マジかよ…」
少年C「ごめん…ごめん…」
私(ああ…そんな責めないであげて…!本人いたたまれないから…!)

車内に漂う悪臭。通路を流れる吐瀉物。
悪臭に耐えかね別の車両に移動する乗客。

大きな駅に着いたら,駅員に声かけた方がいいかな…,と思いつつも,
高校生の様子を遠目から見つめる私…。

少年A「このままにする訳にいかんやろ…。」
少年B「せめて見た目だけでも…。」

そういって少年A,Bは少年Cの鞄からタオルやティッシュを引っ張り出し床を拭き始めました。
拭いきれず,自分たちの鞄からもタオルを取り出ました。

少年A「あーこのタオル新しいのに!」

そう言いながらも作業する手は止めません。
次の駅に着き,ダッシュで降りて使用済みのタオルやティッシュをゴミ箱にイン。
なおも床に残る吐瀉物。

少年B「もう拭うものないな…。」

また次の駅に着ました。
一人のおじさんが立ち上がり,少年Aに鼻セレブを渡して無言で降りて行きました。

少年A・B「「ありがとうございます!!」」

それをきっかけに今まで見て見ぬ振りをしていた周りの大人たちが次々と少年たちの元へ。
「これも使って」「少ししか残ってないけど…」
そう言ってたくさんのポケットティッシュが彼らの元に集まりました。
中には「もうこのハンカチ捨てるヤツだから」と言ったサラリーマンもいました。

「さすがにハンカチは申し訳ないです…」と言いながら,
集まったポケットティッシュを駆使して車内の吐瀉物をすべて拭うことに成功。

同時に目的地に着いたようで,少年Cを支えつつ3人は電車を降りていきました。

少年Cは大丈夫だったかな…。いい友達をもったね…。
3人ともちゃんと家に帰れたかな…。
酔っ払いが吐いてそのままにしてることよくあるけど,あれダメだよね…。

ぼんやりとそんなことを考えながら,
明日からはちゃんと鞄の中にポケットティッシュを入れておこう,と心に決めた夜でした。