JR北海道の路線図を眺めてみた。
稚内は行った。根室も行った。けっこういろいろなところへ行っている。
それならば…
JR北海道の路線完乗を目指してみたくなった。
2026年8月21日(金)釧路から釧網本線で網走へ
6:30に自宅を出て、最寄り駅の阪急塚口へ。
阪急神戸線で十三(じゅうそう)まで行き、宝塚線に乗り換えて蛍池(ほたるがいけ)へ。
蛍池からはモノレールに一駅乗って伊丹空港に着いた。
チェックインカウンターをのぞいてみたが、さほど混んでなさそうだったので、丸福珈琲店でモーニング。今日は次のような予定になっている。
【ANA NH18】 伊丹 9:00 → 10:15 羽田
【ANA NH741】 羽田 11:20 → 12:55 釧路
【釧網本線】 釧路 14:13 → 17:36 網走
羽田での乗り継ぎ1時間5分にやや不安を感じていると、いきなりNH18の出発時刻が遅れるとの通知が届いた。前途多難である。
羽田空港には11:40に到着した。定刻から25分遅れである。
国内線の乗り継ぎは初体験。
どんな流れになるのか不安だったが、「国内線乗継」の案内に沿って行くと、たやすく搭乗口まで来ることができた。
案ずるより産むが易しである。
伊丹からの便が到着したのが60番ゲートで、次の釧路行きは59番ゲート。隣だったのもよかった。
さて、その59番ゲートに来てみると、次の難題が待ち受けていた。
釧路行き11:20発の予定が15分遅れるという。
航空機が遅延した場合、バスは待ってくれそうだが、そのあとの網走行きが危うい。
釧路発14:13を逃すと、次の網走行きは16:29発まで待たなければならない。
今日のメインは、釧路と網走を結ぶ釧網(せんもう)本線である。
宿泊地は網走なので16:29釧路発でもいいのだが、それだと網走着が19:52になる。
せっかくの釧網本線。できれば陽のあるうちに乗りたい。
さて、どうなる?
釧路空港には約20分遅れで到着。
預けていた荷物はなかったので、ターンテーブルを素通りして出口へ。
バスの切符販売機はすぐに見つかった。
釧路駅までの切符1200円を購入して、釧路駅行きの阿寒バスに乗り込んだ。
バスは荷物を預けていた乗客が出てくるのを待って、定刻より20分遅れの13:35に発車した。
バスの時刻表通りなら、釧路駅までの乗車時間は36分。
これでは、釧路14:13発の列車にはちょっと間に合いそうもない。
ならばBプランだ。
釧路で和商(わしょう)市場に立ち寄り、名物の勝手丼を食べ、16:29発の列車で網走へ向かえばよい。
ところが、阿寒バスの運転手さん、全乗客の切符を確認して全員が釧路駅まで乗車することを把握したようで、
「途中のバス停には止まらず釧路駅を目指します。また途中少しショートカットをしますので、できるだけ早く釧路駅に到着するようにいたします」
と漢気(おとこぎ)発言。
まあまあのスピードでかっ飛ばし、なんと釧路駅に14:05に到着した。

14:13発の列車まで8分ある。
これは余裕、と駅弁を探してみたが、すでに売り切れ。
昼食抜きを覚悟してICカードで改札を通過しようとしたら、「ICカードは使えません」と書いてある。
券売機を見ると、先客が一名。
後ろに並んだが、発券に戸惑っている様子。
みどりの窓口もあったが、こちらにも先客がいる。
構内には、
「まもなく網走行き普通列車が発車します」
のアナウンス。
券売機で戸惑っていた先客がなんとか発券を終え、網走までの乗車券4400円を購入したときには、発車ベルが鳴り始めた。
列車が待つホームへ行くには、改札を抜けて地下道をくぐらなければならない。
さすがに無理か?!
ベルが鳴り響く中、がんばって走った。
私が列車に飛び乗ったと同時にベルが鳴り止み、ドアが閉まった。
間に合った!
おそらく改札口にいた駅員さんから運転士に、「列車に乗りたい客がいる」と連絡が入っていたのだろう。
一両編成の列車に乗り込んで、車内を見て驚いた。
いっぱいなのだ。
座席はもちろん満席で、立っている人もいる。
網走までは3時間23分の長旅。立ちっぱなしはさすがに厳しい。
列車は釧路湿原を縫うように北上。
5駅目の塘路(とうろ)駅は、観光列車ノロッコ号の折り返し駅。
ホームを見ると20人くらいの少年たちが列車を待っている。
これはなんとか座席を確保しないとえらいことになる、と車内を見たら、幸運にも空いている席を見つけることができた。
乗ってきた少年たちは、どこかの中学校の鉄道研究会の子たちと思われる。「夏合宿」とプリントされた冊子を手にしていた。
座ったのはロングシート。
彼らが乗ってきて目の前に立ったので、車窓からの景色は見えなくなってしまった。
無理して14:13発の列車に乗らず、のんびりBプランで網走を目指せばよかったかも――。
そんな後悔も少し頭をよぎった釧網本線である。

大勢の鉄分多めの中学生たちのおかげで、ずっと立ち客がいる状態のまま、釧網本線の鉄路はオホーツク海沿岸に差しかかった。
知床斜里を過ぎ、浜小清水あたりからオホーツク海が見え始めた。
Bプランだと、このあたりではもう夜になっていたので見られなかった景色。
釧路で頑張って走った甲斐があった。
オホーツク海に最も近い駅・北浜に着いた。
オホーツク海の波は荒い。
その北浜から15分ほど走って網走に着いた。
釧路から3時間23分の旅。
そのほとんどを座ることができたのは幸いだったが、さすがにお尻が痛くなった。
今回乗ったのはH100-83という車両。
JR北海道H100形電気式気動車、愛称「DECMO(デクモ)」。
ディーゼルエンジンで発電機を回す → 電気をつくる → その電気でモーターを回して走るという方式である。
エンジンが直接車輪を回すのではなく、実際に車輪を駆動するのは電気モーターという、ディーゼルカーオタクとしてはちょっと中途半端な車両だ。
「H100」の「H」は北海道(Hokkaido)に由来し、最高運転速度は100km/hとのこと。
中学生たちも網走で下りた。
まさか同じ駅前のビジネスホテルに泊まるのかと思ったが、彼らは隣のビジネスホテルに入って行った。
大浴場でまた彼らと遭遇したら落ち着かない、と心配したが杞憂に終わった。


ホテルにチェックインして、とてもお腹が空いていることに気づいた。
朝、伊丹空港でモーニングを食べて以来、なにも口にしていないのだ。
腹も減るはずである。
せっかく網走に来たのだから、オホーツクの海の幸を食べたい。
ChatGPTに相談すると、五十集屋(いさばや)という炉端焼き店を勧めてきた。
場所は網走の中心部にあるらしい。
網走駅前は決して街の中心部ではない。コンビニひとつないのだ。
目指す街の中心部は駅前から徒歩15分ほど。
よい運動である。
いざ着いてみると、「ここが中心部?」と思うくらい閑散としている。
でも、ビジネスホテルのフロントの方が街の中心部と言っていたので間違いないのだろう。
炉端焼き店「五十集屋(いさばや)」では、刺身盛り合わせ、ホッケ、ホタテを注文。
北海道で食べるホッケは、ほんとうに大きくておいしい。
ウーロン茶1杯飲んで5500円ならお得だろう。
ホテルに帰る途中、セイコーマートに立ち寄った。
店内は賑わっていた。
どこかで見た顔やなと思ったら、鉄分多めの中学生たちだった。
網走はそんな狭い街だ。
もしかして、明日も中学生たちと同じ列車になるのだろうか。



2026年8月22日(土) 石北本線、富良野線、根室本線
北海道2日目。
網走は最高気温26℃、最低気温16℃。
昨夜、半袖で街歩きをしたときはやや肌寒く感じたし、ホテルの部屋はエアコン不要。寝るときはかけ布団を首まで被った。
さて、今日の旅程はこんな感じ。
【石北本線】【オホーツク2号】 網走 6:55 → 10:35 旭川
【富良野線】旭川 11:33 → 12:43 富良野
【根室本線】富良野 15:04 → 16:03 滝川
【函館本線】【カムイ30号】 滝川 16:32 → 17:25 札幌
特急オホーツク2号と特急カムイ30号の指定席券は、えきねっとのアプリで事前に購入。
カムイはQRで乗車できるのだが、オホーツクは紙の指定席券の発券が必要とのこと。
網走発6:55なので、当日の発券は何が起こるかわからない。できれば避けたいところ。
では前日に発券すればいいのだが、網走駅のみどりの窓口は16:30までの営業。
閉店が早すぎる。
昨日網走に着いたのは17:36だったので、当然みどりの窓口は開いていない。
駅の構内を見ると、「話せる券売機」というのが1台あり、無事にオホーツクの指定席券を発券することができた。
指定席券は発券できたが、乗車券はどうする?
釧路駅同様、網走駅でも交通系ICカードは使えない。
では話せる券売機で買えばいいのだが、網走から旭川、富良野、滝川を経由して札幌へ行く乗車券を、どうやって買えばいいのか。
改札内に駅員さんがいたので訊いてみた。
「明日、旭川、富良野、滝川を経由して札幌まで行く乗車券を買いたいのですが」
すると、
「あちらの話せる券売機でそのようにお話しください」
とのこと。
もう一度、話せる券売機のところに戻ると、「コールセンター」というボタンがある。
押すと呼び出し音が鳴り、モニター越しに女性スタッフが現れ、
「どのようなご用件でしょうか?」
と声をかけてきた。
私が、
「明日、網走から旭川、富良野、滝川を経由して札幌まで行く乗車券を購入したいのですが」
と言うと、
「承知しました。少々お待ちください」
となにやらカチャカチャ操作をしている様子がモニターに映る。
しばらくして、
「お待たせしました。こちらで間違いないでしょうか」
と声がして、話せる券売機の画面を見ると、乗車券の内容が表示されている。
確認して「はい、間違いないです」と答えると、
「それでは発券しますね」
と返事があり、支払い処理をしたら乗車券が発券された。
おお、まさに「話せる券売機」!
ということで、無事に乗車券と特急券を手にした次第である。


まずはオホーツク2号で旭川を目指す。
今日もいい天気だ。
オホーツクは3両編成のディーゼル特急。
今日はディーゼルカーオタク大満足の1日になる。
6:55網走発だが、列車は20分くらい前に1番ホームに入線してきた。
さまざまな角度から写真を撮る。
そして定刻通りに発車。
ディーゼルエンジンの唸り、振動。
求めていたものにやっと出会えた。
やっと出会えたといえば、昨日釧網本線でいっしょだった夏合宿中の鉄道研究会の中学生たちも同じ列車だった。


6:55に網走を発ったオホーツク2号は、女満別(めまんべつ)、美幌(びほろ)と進み、7:45に北見に着いた。
北見からは大勢の乗客が乗ってきた。網走に比べて駅前も栄えている。
北見から車内販売がやってきた。
駅弁の販売ではなく、地元の方たちが地元で作られた食料品を販売するというもの。
あとは、北見工業大学鉄道研究会が作ったグッズ。
先に商品一覧が配られて、あとから販売員が席を回ってきた。
こういうのには絡みたいタチなので、北見市ティンカーベルのフィナンシェ5個とクリアファイル2種を購入。
朝ごはんを食べておらず、おなかが空いていたので、フィナンシェの甘さが沁みた。
2個だけ食べて、あとはおやつにとっておく。
オホーツクは留辺蘂(るべしべ)、生田原(いくたはら)と停車し、次は遠軽(えんがる)。
それにしても、留辺蘂の「蘂」は難しい漢字だ。
遠軽では進行方向が変わる。
それまで1号車を先頭に進んでいたが、各自座席を回転させて向きを変え、3号車を先頭に札幌へ向かう。
遠軽でも多くの乗客があり、車内はほぼ満席となった。
オホーツク2号は遠軽で4分停車し、8:43に出発。
ここから丸瀬布(まるせっぷ)、白滝(しらたき)と停まり、次は上川(かみかわ)。
白滝を出ると、列車は山深い区間を進む。
そして、なかなか次の上川に着かない。
時刻表では、白滝9:19発、上川9:55着とある。
駅間36分かかる計算だ。
こんなに駅間が長い区間、ほかにあるのか興味をもったので調べてみると、北見峠を越えるこの区間37.3kmが在来線では駅間最長区間らしい。
かつて上川―白滝間には途中に5駅あったが、利用者減少で廃駅が進んだため、駅間最長区間に躍り出たというわけだ。
オホーツクはようやく上川に着いた。上川9:56発。
上川盆地を軽快に飛ばす。
次の停車駅は旭川だ。
オホーツクを旭川で下車。
鉄道研究会の中学生たちも下りた。
ただ、網走―旭川間で下りた子も何人かいて、集団行動なのか、今日はそれぞれの家に帰るだけなのか判断がつかない。
オホーツクは3時間40分の乗車時間であったが、指定席なので座席は確保されていた。
だが、次の富良野線は普通列車。
夏休みの土曜日。
昨日の釧網本線のように満員で立たなければならなくなったら、さすがに厳しい。
鉄道研究会の動きも気になる。
富良野までは1時間10分ある。
時刻表で富良野方面から旭川行きの列車を調べると11:11着とある。
次に乗る富良野行きは11:33発。
きっと11:11に旭川に着いた列車が折り返し11:33発の富良野行きになるはず、と読んで、旭川駅1番ホームに早めに行った。
読みは的中した。
11:11に着いた列車の乗客が下りるのを待って、いちばんに乗り込めた。
なんなく進行方向左側の一人席を確保。
出発5分前。
すでに二両編成の車内は満員で、立っている乗客もいる。
早めにホームに上がる作戦は奏功した。
旭川を11:33に発車した列車は、途中駅での乗降客の動きがほとんどないまま、12:07美瑛(びえい)着。
さすが観光地だけあって、乗客の半分くらいが下りていった。
ちらっと見えた駅前広場には仮設ステージが組まれていて、大勢の観客がいた。なにかのイベントだろう。
美瑛を過ぎると、進行方向左手の車窓には田園地帯が広がってきた。
その向こうには十勝岳連峰。
窓が開くなら、外の空気を思いっきり吸いたいところだ。
中富良野で乗客の大半が下り、12:43富良野着。
自然と「北の国から」のテーマが頭の中を流れた。
そういえば、鉄道研究会は富良野線では見かけなかった。
旭川で解散したのか、宗谷本線で稚内へ向かったのか。

富良野では、「くまげら」という店に入り、名物というローストビーフ丼を食べた。
名物にうまいものなしというが、これはほんとにうまかった。
ChatGPTが富良野でのランチに勧めてきたのは「唯我独尊」というカレー店だった。
足を運んでみたが10人以上並んでいたので断念。
結果、「くまげら」でローストビーフ丼を食べた次第。
そのあと、フラノマルシェという商業施設へ足を伸ばし、メロンヨーグルトを注文してしばし涼をとった。
富良野の気温は31℃。
昨日の網走に比べると暑い。

このあとは、15:04富良野発の普通列車で滝川を目指す。
根室本線だ。
根室本線は、かつて札幌から滝川→富良野→帯広→釧路→根室を結ぶ重要幹線だった。
急行・特急・夜行列車が走り、北海道を東西に横断する路線だった。
ところが、1981年に石勝(せきしょう)線が開業したことにより、札幌から帯広・釧路へ向かう列車は、札幌→南千歳→追分→新夕張→(石勝線)→新得→帯広→釧路という短いルートを走れるようになった。
その結果、それまでの札幌→滝川→富良野→新得という根室本線経由のルートから、都市間輸送の主役が石勝線へ移った。
これが滝川―富良野―新得のローカル線化の大きなきっかけとなった。
さらに2016年8月の台風10号により、富良野―新得間が大きな被害を受けた。
富良野―東鹿越は復旧したものの、東鹿越―新得は鉄道で復旧することなく代行バス輸送となった。
そして最終的に、2024年3月31日をもって富良野―新得間の列車運行が終了。4月1日に81.7kmが正式に廃止となった。
現在の根室本線は、滝川―富良野と、新得―帯広―釧路―根室に分断された形となっている。
かつて道央と道東を結んだ大動脈線を走るにはあまりにも哀しい、一両編成のディーゼルカーに乗り込む。
キハ54 510。
どうしてどうして。
赤とクリーム色のツートンカラーではないけれど、私が最も好きな、いわゆる「ザ・ディーゼルカー」だ。
窓も開く。
天井には扇風機が回る。
キハ54 510は「国鉄最後の新車世代」とのこと。
キハ54形500番台は、国鉄分割民営化直前の1986年に北海道向けとして登場したディーゼルカーらしい。
昭和の香りは大好きだ。


富良野を出てしばらくすると、車窓風景が北海道の山間の鉄道に変わっていく。
芦別15:32着。
現在は静かな地方都市だが、かつての芦別は石炭の町だった。
今はキハ54がのんびり走っているこの根室本線も、かつては単なるローカル線ではなく、石炭・木材・人を運ぶ北海道の大動脈だったのだ。
赤平15:49着。
次は終点の滝川。
ここまで来ると山が次第に遠ざかり、石狩平野側へ出ていく感じがする。
富良野―滝川間、一両編成のキハ54に揺られる旅は最高だった。
富良野15:04発、滝川16:03着。
約1時間という乗車時間もちょうどいい。
滝川からは特急カムイ30号に乗り換え、札幌へ。
滝川16:32発、札幌17:25着。
道東から道央へ、鉄路をつないできた旅も、いよいよ今日の最後の区間となった。
釧路駅で必死に走って、ギリギリ間に合った釧網本線。
どこか物悲しさを感じた、網走の街。
道東へ続いていた鉄路が寸断され、終着駅となった富良野。
そして、昭和の香りを胸いっぱいに吸い込んだ根室本線。
そんな旅を思い返しながら、札幌へ向かう。
ついさっきまで乗っていたのは、一両編成のディーゼルカーがのんびり走る、これぞローカル線という列車だった。
それが滝川で、エアコンの効いた、シートも倒せる特急列車に乗り換えた途端、急に現実の世界へ引き戻されたような気がした。
2026年8月23日(日) 札沼線と室蘭へ
北海道3日目。
午前中は札幌―北海道医療大学を結ぶ札沼(さっしょう)線、通称・学園都市線を往復する。
この路線、かつては札幌と石狩沼田を結んでいたが、1972年に新十津川―石狩沼田、2020年に北海道医療大学―新十津川の区間が廃止されて現在に至っている。
片道44分の6両編成の電車旅。
車両はオールロングシート。
札幌7:41発。
日曜日ということもあってか、乗客は一両に4人しかいない。
平日の朝夕は通勤通学客で混雑しているのだろう。
札幌の次は函館本線も停まる桑園(そうえん)。札幌競馬場の最寄駅だ。
桑園で函館本線と分かれて北東へ向かう。
車窓に広がるのは札幌の市街地。
石狩川を渡ると、一転して自然豊かな景色が広がってきた。
8:11ロイズタウン着。
チョコレートで有名なROYCEの工場が見えた。
8:14太美を出るころには、田園地帯の中を走るローカル線の様相を呈してきた。
気づけば単線になっている。
調べると、桑園の次の駅・八軒―あいの里教育大間だけが複線のようだ。
終点の北海道医療大学8:25着。
駅前に出てみた。
道路を隔てて北海道医療大学がある。
夏休みの日曜日とあって、学生の姿はない。
セイコーマートも閉まっている。土日祝は休みのようだ。
ほかに立ち寄れる場所もなく、駅から少し北へ歩いていくと、廃線跡が見えた。
線路だけが放置され、雑草が覆い茂っている。
悲しい光景だ。
このあとは折り返し8:52発の電車で札幌に戻る。
札幌には9:40に着く。



本日の乗り鉄旅、後半は札幌から室蘭を目指す。
札幌16:07発の室蘭行き特急すずらんに乗車。
札幌―苫小牧―東室蘭―室蘭は電化区間なので、特急すずらんは電車ということになる。

苫小牧を過ぎると、車窓右側に太平洋を望むことになる。
今回の乗り鉄旅では、オホーツク海と太平洋の両方を見ることができた。
札幌―東室蘭間は、かつてトワイライトエクスプレスや特急北斗に乗車したときに通っているのだが、東室蘭―室蘭間は未乗区間。
東室蘭から室蘭本線の支線に入り、輪西、御崎、母恋と各駅に停まり、定刻より3分遅れて17:49室蘭に着いた。
さて。
せっかく室蘭まで来たのだから、夕食は室蘭で食べたい。
ChatGPTに相談すると、
「室蘭といえば室蘭やきとりです。店は鳥辰本店一択です」
と自信満々。
いつもは3プランくらい提案してくるのに、今回は1プランだけとはChatGPTよほど自信があるとみた。
それならば、駅を出たら鳥辰本店へまっしぐらや!と勢いよく改札に向かったら、まさかのICカード取り扱いなし。
というか、駅員さえいない無人駅。
網走は駅員はいた。
実は札幌からすずらんに乗る際、うかつにもICカードで入場してしまっていたのだ。
これは困った。
しかし、鳥辰本店が先だ。
このあと、室蘭18:46発の東室蘭行き普通列車で折り返さなければならないのだ。
スマホのマップを確かめながら鳥辰本店を目指す。
駅前に出て驚いた。
駅前はめちゃ広いのに、網走同様何にもない。
回転寿司屋が一軒あるだけだ。
そして駅から早足で3分ほどで、目指す鳥辰本店に着いた。
焼き鳥のいいにおいが漂う。
しかし。
店の前には10人くらいの人が並んでいた。
絶望。
ここで待つと帰りが間に合わない。
ほかの選択肢は、ない。ChatGPTが鳥辰本店一択だったのはそういうことだったのか。
回転寿司屋も駐車場は車でいっぱいだった。
ChatGPTに相談した。
「鳥辰本店は待ち客がいた」と。
彼はこう答えた。
「札幌まで我慢しましょう」と。
予定では室蘭から東室蘭まで普通列車に乗り、東室蘭から特急北斗で札幌に戻ることになっている。
札幌着は20:36だ。
駅前に戻って、広い道路沿いを歩いてみた。
ローソンが見えた。
中に入った。
室蘭まで来てローソン?
せめて北海道らしいものを、と探していたら、「プレミアムロールケーキ北海道産赤肉メロン」が半額で売っていたので購入。
札幌までの空腹を少しでもしのぐ算段だ。



室蘭駅に戻ってきて、札幌までの乗車券、特急券を発券。
勝手知ったる「えきねっと」で事前予約していたのだ。
さて、札幌から室蘭までの乗車券問題をどうしたものか。
ここで悪い私が顔を出す。
「このまま札幌まで帰って、一駅先の桑園で降りれば一駅分乗車したことになるで」
そのまま何食わぬ顔で桑園から乗って札幌で降りれば?とそそのかす。
しかし、いい私がそれを止める。
「室蘭駅に話せる券売機があるではないか。網走駅で使ったやつや。そこで正直に話して、札幌―室蘭間の乗車券代3080円の乗車記録をICカードにつけてもらえ」
話せる券売機、網走についで2回目の利用である。
オペレーターのおねえさんに事情を話すと、
「ここで札幌から室蘭までの乗車券を作りますので、いったん購入して、札幌駅の改札でその乗車券を渡し、事情を話してICカードの入場記録を消してもらってください」
とのこと。
言われるとおりに、札幌―室蘭間の乗車券を購入した。
札幌駅の改札を出るときに、ICカードをタッチしないよう気をつけなければ。
そうこうしているうちに、苫小牧行きの二両編成の普通列車が入ってきた。
電車である。
乗客は4人。
時刻はまもなく19時。
まわりはすっかり暗くなっていた。
室蘭駅前では気温24℃と表示されていた。
涼しいのが救いだ。

18:58東室蘭で普通列車を降りて、札幌行きの特急北斗17号を待つ。
東室蘭発は19:05だ。
北斗は函館―札幌間を走る特急。
函館から東室蘭までは非電化区間のため、北斗はディーゼル特急である。
ディーゼルエンジンの心地よい響きを感じながら、札幌まで心とからだを休めた。
2026年8月24日(月) 最後のディーゼルカー旅
北海道4日目。
北海道乗り鉄旅もいよいよ最終日となった。
今日のメインは、室蘭本線の岩見沢―苫小牧間。
まずは札幌から岩見沢に向かう。
8:00発の特急ライラック旭川行きを利用。
札幌の次の停車駅が岩見沢で、8:25に着く。
岩見沢行きの各駅停車が8:02札幌発、岩見沢8:44着なので到着時刻は19分しか変わらないが、確実に座るため特急券代870円を支出した。

室蘭本線は国鉄最後のSL定期旅客列車の舞台。
1975年12月14日、室蘭7:50発→岩見沢11:42着の普通225列車を、「貴婦人」と呼ばれたC57形135号機が牽引した。
これが国鉄における蒸気機関車牽引の最後の定期旅客列車だった。
今日の苫小牧→追分→岩見沢は、この最終列車が実際に走った区間。
今日はその線路を逆方向に、岩見沢から苫小牧へたどることになる。
岩見沢9:03発の苫小牧行きはキハ150系の2両編成。
石狩平野から夕張川周辺、栗山・由仁(ゆに)を経て、だんだんと北海道らしい広々した農村風景に変わっていく様子を楽しめるとのこと。
最後のディーゼルカー旅の出発である。
定刻通りに岩見沢を出発した室蘭本線の列車は、しばらく複線電化された函館本線の線路と並走し、やがて大きく左手にカーブした。
しばらく岩見沢の市街地を走っていたが、すぐに田園風景が広がってきた。
キハ150系は最高速度90kmで石狩平野を軽快に飛ばしていく。
平成生まれのディーゼルカーだけにパワーがあるのだろうか。
最初の停車駅は志文。
ここから栗沢、栗丘、栗山と「栗」のついた駅名が3駅続く。
栗丘からは平野を離れ、山がちなところを走り始めた。
トンネルもある。
再び平地に出て、9:25栗山着。
意外と街である。
栗山を出ると、複線になっていることに気づいた。
栗山―由仁間の複線化は、石炭輸送全盛期の輸送力増強の名残らしい。
由仁を出ると、また単線に戻った。
少し雨が降ってきた。
雨の車窓風景もまたよいものだ。
由仁、古山、三川(みかわ)と停まり、ここからまた複線になった。これも石炭輸送のためのようだ。
9:49追分(おいわけ)着。
立派な駅である。
石勝線の乗換駅でもある。
かつて追分機関区があった場所。
1892(明治25)年、北海道炭礦鉄道が岩見沢―室蘭を開通させた際、ここから夕張炭鉱へ向かう支線も同時に開業させた。
開業当初から、追分は岩見沢・室蘭・夕張の三方向へ線路が分かれるジャンクションだったのだ。
夕張方面から来た石炭列車を室蘭方面へ送り出すため、追分には大規模な機関区が置かれ、多数の蒸気機関車が配置されていたのだそうだ。
追分からは、安平(あびら)、早来(はやきた)と停車。
競馬好きには馴染みのある地名。
競走馬の生産で有名なノーザンファームがある。
早来の次は遠浅(とあさ)。
「とおあさ」ではなく「とあさ」と読む。
遠浅の次は沼ノ端(ぬまのはた)。
千歳線の線路と合流して、終着苫小牧へ。
そして、雨が降る苫小牧10:29着。
室蘭本線は苫小牧からさらに西へ延び、白老、登別、東室蘭、伊達紋別、洞爺などを経て長万部(おしゃまんべ)まで続いている。
昨日乗車した東室蘭―室蘭は、室蘭本線の支線である。
長万部―苫小牧間はすでに乗ったことがある区間なので、今日で室蘭本線完乗も達成した。

このあとは、苫小牧で少し早い昼食を摂り、千歳線で南千歳まで向かい、乗り換えて新千歳空港まで行く。
苫小牧に着いて、ChatGPTガイドにオススメの食事を尋ねると、マルトマ食堂でホッキを食べることを勧めてきた。
ホッキカレー、ホッキ丼、ホッキの刺身が苫小牧名物とのこと。
駅前からタクシーに乗り、マルトマ食堂へ着いたが午前11時前。
なのに30人くらい並んでいる。
並ぶのは嫌いなので、近くの魚金食堂に移動。
ホッキの刺身とホッキカレーを注文した。
ホッキの刺身は歯応えもあっておいしかったが、ホッキカレーは微妙。
カレーが普通のカレーなのでやむを得ない。



さて、外は小雨。
苫小牧駅までどうしたものか。
ChatGPTに相談すると、タクシー会社に連絡すべし、とタクシー会社名と電話番号を教えてきた。
電話するのはめんどくさいな、とふと店のテーブルを見ると、GOタクシーのアプリを紹介したカードが置いてある。
QRコードを読み込んでサクッと登録。
ふだんタクシーを利用することがないので、タクシーを呼ぶアプリを入れておらず、使ったこともないのだ。
支払いはPayPayと連携。
「タクシーを呼ぶ」と操作すると、「0〜3分で到着」と表示された。
ちょうど食事を終えたところだったので、すぐに店を出て待つ。
ウーバーイーツのように、今どこにタクシーがいるのかが表示されている。
便利だ。
ほどなくタクシーが到着。
アプリで行き先も入力済みなのですぐに出発。
運転手さんは昭和27年、北海道日高の生まれ。集団就職で東京に出られていたらしい。
運転手さんもGOタクシーを入れられていて、同業者の空車がどこにいるかをご覧になっているとのこと。
「空車が多い地域を避けるように流してるんです」
なかなか戦略的である。
そんな話をしながら苫小牧駅前まで帰ってきた。
運転手さんがタブレット画面で支払い操作をしてくれて、支払い完了。
財布を開けることなくタクシーに乗れた。
ほんとうに便利な世の中になったものだ。
このあとは苫小牧→南千歳→新千歳空港と移動。
新千歳空港では搭乗予定の便まで約3時間半もある。
そんなときはターミナルビル4Fにあるスーパー銭湯「新千歳空港温泉」へ。
サウナでととのったあとの露天風呂は最高だ。
リラクゼーションスポット「体・癒し處」も併設しているので旅の疲れをほぐすこともできる。
新千歳空港での待ち時間を有意義に過ごし、帰阪の途についた。
まとめ
今回の北海道乗り鉄旅、何km鉄道に乗車したのだろう。
釧路 → 網走:169.1km(未乗車区間)
網走 → 旭川:237.7km
旭川 → 富良野:54.8km(未乗車区間)
富良野 → 滝川:54.6km(未乗車区間)
滝川 → 札幌:83.5km
札幌 → 北海道医療大学 → 札幌:61.0km(未乗車区間)
札幌 → 室蘭 → 札幌:272.4km(東室蘭―室蘭が未乗車区間)
札幌 → 岩見沢:40.6km
岩見沢 → 苫小牧:75.8km(未乗車区間)
苫小牧 → 南千歳:27.2km
南千歳 → 新千歳空港:2.6km
合計 1,079.3km。
乗りまくったなという感想である。
今回の乗り鉄旅で乗車したルートを時刻表の地図でたどってみた。

青と橙のマーカーを引いた路線が今回乗車した路線。
青は今回初めて乗車した路線で、橙は過去に乗車済みの路線。
これにより、現在のJR北海道の路線で未乗車区間は、函館本線の大沼―森間の支線区間と、五稜郭―木古内の道南いさりび鉄道(厳密にいえばもうJRではないですが)を残すのみとなった。
JR北海道完乗まで、あとわずかだ。
といっても、多数の路線が廃線となってからの完乗なので、正直複雑な気持ちではある。
参考までに、約60年前、1967(昭和42)年の路線図もアップしておく。
この路線図と比べてみると、現在の路線図がいかにスカスカか一目瞭然である。
この旅行記をご覧になった方で、以前乗ったことがあるけど、今は廃線になってしまったという区間はありませんか。
