A Travel Journal
旅行記
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最果ての地を目指して

<出発まで>

終着駅が好きだ。
2本のレールが、×のマークで断ち切られているさまを見るのが好き。
長い旅路の果て。
郷愁が漂う。
なかでも、北海道の稚内(わっかない)は格別だ。
日本最北端の駅。
もうこれ以上北に駅はない。
最果ての駅。
少々の頃、鉄道に興味を覚え、時刻表を読むようになってからずっと「稚内」はあこがれの駅だった。

<2017年3月10日(金) 札幌>

稚内行きに備え、前日に札幌入り。
夜はすすきのにある「はちきょう本店」で、北の海の幸に舌鼓を打った。

<はちきょう本店>

<刺 身>

<毛がに>

<ほっけ>

<名物・つっこ飯(いくら丼)>

<すすきの>

<道端に駐めてあった自転車>

あすはいよいよ稚内だ。

<2017年3月11日(土) 札幌→稚内→旭川>

泊まっていた札幌グランドホテルからタクシーで札幌駅へ。
構内に入り、案内板を見ると最果ての地へ向かう実感が沸いてくる。

<札幌駅の案内板>

すでに稚内行きのディーゼル特急「宗谷」は8番線に入線していた。

<札幌駅での宗谷>

午前7時30分、「宗谷」は札幌駅を発つ。
札幌は雪が降っていた。
「宗谷」は函館本線を東へ向かう。
札幌を離れるころには雪はやみ、青空が広がってきた。
岩見沢、美唄(びばい)、砂川、滝川、深川と停車して、8時58分に旭川着。
ここから列車は宗谷本線に入る。

<「宗谷」からの車窓風景>

宗谷本線は、西に天塩(てしお)山地、東に北見山地を控え、天塩川に沿うように走る。

<天塩川沿いを走る「宗谷」>

三浦綾子の小説『塩狩峠』を超えると、宗谷本線最初の停車駅和寒(わっさむ)に着いた。
士別、名寄(なよろ)、美深(びふか)と停車して、10時41分音威子府(おといねっぷ)着。
音威子府は、いかにも北海道らしい駅名で大好きな駅のひとつ。
訪れるのが楽しみだった。

<音威子府駅>

音威子府を発車して二駅目の佐久で緊急停車。

<緊急停車した佐久駅>

原因を伝える車内放送が流れたが聞き取れず、約35分遅れて発車した。
天塩中川、幌延(ほろのべ)、豊富(とよとみ)と停車して、列車は稚内を目指す。
車窓に高い山影が見えてきた。
利尻富士である。

<「宗谷」から見た利尻富士>

宗谷本線は海岸沿いを走らない。
ただ一瞬、抜海(ばっかい)のあたりで日本海沿いを走る区間がある。
海越しに利尻富士が見えた。

遅れを取り戻せないまま南稚内着。
そしていよいよ「宗谷」は稚内へ。

降り立った稚内駅は、想像していたのと違っていた。

<稚内駅のホームにて>

最果てのイメージはない。
ホームは一面しかなく、駅舎は近代的な造りをしていた。
調べると2012年に改装されたとのこと。

稚内駅を出て、路線バスで宗谷岬を目指す予定だったが、
列車の到着が遅れてバスの時刻がギリギリになったこと、
また晴天に恵まれ、道路に雪がなかったことから、
レンタカーを借りて宗谷岬を目指すことにした。

実は、稚内駅を下りると、すぐ先に宗谷岬があると勝手に思っていたのだが、
実際には稚内駅から西へ30kmほど離れたところに宗谷岬はあった。

宗谷岬へのドライブは快適そのもの。
稚内の市街地は信号もあり、交通量もそこそこはあるのだが、
市街地を外れると、信号もなければ走っている車も少ない。
安全運転に徹しても、30分かからずに宗谷岬に着いた。

日本最北端・宗谷岬。
空は青く、海も蒼い。

<宗谷岬>

これほど美しい水平線はなかなか拝めない。

<宗谷岬から地平線を臨む>

<活躍してくれたレンタカー>

途中、観光バスが着いたときは賑わったが、
バスが去ると岬にとどまる人は数人。
40kmほど先にサハリンがあるとのことだが、
双眼鏡をのぞいてもサハリンの島影は見えなかった。
宗谷岬で1時間ほど過ごしたあとは、稚内市内に戻る。
途中、利尻富士が見えてきたので、車を止めて撮影タイム。

<宗谷岬から稚内へ戻る途中に撮影した利尻富士>

稚内市街へ戻ると、次の目的地ノシャップ岬へ。
ノシャップ岬は、稚内駅から5kmほどのところにある。
利尻富士が宗谷岬よりも近くに見えた。

<ノシャップ岬から見た利尻富士>

稚内駅まで戻り、レンタカーを返して、稚内駅ビルにある食堂で遅い昼食をとった。

<稚内駅で食べたほたてとたこの丼>

稚内駅の駅舎を撮影しようと駅の正面に回り込むと、
駅舎から線路が延びていた。

<稚内駅から延びている線路>

かつてはここに車止めがあったもよう。

<以前の稚内駅の写真が展示してあった>

稚内駅のホームへ。
帰りは再び「宗谷」に乗り込む。

<稚内駅ホームでアイスを食べながら>

<稚内駅ホーム>

<稚内発札幌行きの「宗谷」>

稚内発17時46分。次の南稚内を発ってしばらくすると日が暮れた。

<日暮れ直後に「宗谷」から見えた利尻富士>

車窓を眺めても真っ暗なので、文庫本を読んで過ごした。

<夜の音威子府駅>

21時26分旭川着。
今夜は旭川に泊まる。
上川盆地の中心都市旭川。
立派な駅ビルが併設され、駅前も開けていたのだが、人はまばらだった。

<2017年3月12日(日) 旭山動物園>

きょうの目的地は旭山動物園。
ホテルからタクシーで旭川駅まで行き、大きな荷物をコインロッカーに預けて、旭山動物園行きのバス停へ。
9時30分発のバスを待つ人はすでに長い列をつくっていた。

<旭山動物園前行きのバスを待つ行列>

2台目のバスに乗り込む。
車内は満員で、およそ40分立ったまま乗車した。
旭山動物園着。

<ペンギンやあざらしに近い西門で開園を待つ>

10時30分開園。
天気は昨日に引き続き晴天。
気温は零下だが、風がなく、陽が当たれば寒さはさほど感じなかった。
旭山動物園は傾斜地にできた動物園で、敷地はそれほど広くない。

<旭山動物園の園内案内図>

動物たちの配置が巧みで、案内の看板もほとんどが手書き。
手作り感あふれる動物園だった。

まずはペンギンたちに会いに行った。

続いてあざらし。

開園して30分。11時からペンギンのお散歩が始まる。

<お散歩前のペンギンたち>

ペンギンが歩くコースの両端を途切れなく観客が取り囲んだ。

そのなかをペンギンたちが歩いてきた。
キングペンギンのなかにひときわ小さいペンギンが一羽。
ジェンツーペンギンの愛らしさに心奪われた。

ペンギンのお散歩は、ペンギンが戻るまで見届けた。
その時間およそ45分。
ペンギンくんたち、おつかれさまである。

そのあと一通り動物たちを見て回った。
寒い時期なので、多くの動物はじっとしていたが、
シンリンオオカミの遠吠えを聴けたのは貴重な経験だった。

<遠吠えするシンリンオオカミ>

帰りの時間が迫る。
ホッキョクグマを見る時間がなくなった。

<旭山動物園から見た旭川方面>

14時発のバスに乗車。
昼食をとる時間を惜しんで動物園内を見て回った。
帰りのバスも座れなかった。

旭川駅には30分ほどで着いた。
旭川駅で駅弁を探したがいいのがなく、
やむを得ず構内にあったセブンイレブンへ。
北海道限定とあったスープカレーを買ってあたためてもらい、
15時旭川発のカムイ30号へ乗車。
席に座ってスープカレーを食べた。

カムイは札幌行きの特急。
札幌には16時25分着。

10分待って16時35分札幌発のエアポート164号で新千歳空港へ。

慌ただしくお土産を買って、機上の人となった。

稚内に行きたくて企画した今回の旅行だったが、
終わってみればペンギンの愛らしさが最も印象に残った旅となった。

<今回の旅で購入した切符>