A Travel Journal
旅行記
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遙かなるオーガスタ

<出発まで>

2015(平成27)年の秋のある日。
嫁がぽつりといった。

「マスターズ観に行こか。」

マスターズとは、アメリカで開催されるゴルフの大会。
「メジャー」と呼ばれる四大大会のひとつ。
「メジャー」とは、マスターズ、全英オープン、全米オープン、全米プロを指す。
中でもマスターズは別格だ。
ほかのメジャーが、毎年異なるゴルフ場で大会を開催するのに対し、
マスターズは、毎年4月上旬にオーガスタナショナルゴルフクラブで開催される。
オーガスタはゴルファーにとっての聖地であり、あこがれの場所。

ゴルフを観戦する人を「ギャラリー」と呼ぶが、
マスターズだけは「パトロン」と呼ぶ。
入場券は一般発売していない。
通常なら入場できないのだが、日本から観戦ツアーが出ている。
このツアーに参加して、マスターズを観戦することとなった。

<出発の日>

2016(平成28)年4月5日。
伊丹空港から成田空港へ。

ここでツアーに合流し、ダラスへ飛んだ。
ダラスで乗り継いでオーガスタへ。

ここでオーガスタの場所を確認しておく。
オーガスタはアメリカ合衆国の南東部、ジョージア州に位置している。

ダラスからオーガスタへはおよそ2時間のフライト。
オーガスタ空港はローカル色いっぱい。
タラップを使って地上に降りた。

選手のものだろうか、プライベイトジェット機がたくさん駐まっていた。

これがオーガスタ空港の出入り口。

とても空港の出入り口とは思えないような雰囲気だ。

ここで現地のアテンダントの方たちと合流し、ホテルへ。

ホテルはハイウエイ沿いにぽつんと立っていた。
隣に売店を備えたガソリンスタンドがあるだけだった。
ホテルの部屋はこんな感じ。

寝るだけなので十分な広さである。
そのあと、ツアー参加者とショッピングモール内にあるレストランへ行き、夕食をとった。

今回参加したツアーは、マスターズを5日間観戦するツアー。
初日は、練習ラウンドとパー3コンテストというイベントを観戦。
写真撮影が可能なのはこの日だけ。
あとは予選ラウンド2日間と決勝ラウンドを2日間観戦する。
ホテルとオーガスタナショナルゴルフクラブをひたすら往復するだけのツアーである。

<マスターズ観戦>

いよいよオーガスタナショナルゴルフクラブへ。
今日は練習ラウンドとパー3コンテストを観戦する。

ホテルから送迎車に乗ってゴルフ場近くのスーパーマーケットの駐車場へ。
ここがツアーの送迎場所になる。
入口にはすでに多くのパトロンが並んでいた。

ようやく入場。

入口からコースまでは、広大な練習場が広がっている。

場内のところどころにあるスターティングリストが入ったボックス。

この日は、パー3コンテストのリストが入っていた。

ようやくコースへ。

オーガスタは、このようにだだっ広い。

傾斜を登ると、1番ホールのティーグランド、9番ホールのグリーン、
10番ホールのティーグランド、18番ホールのグリーンが隣接していることがわかる。

ここは18番ホールのグリーン。
パトロンたちは、マスターズの椅子を思い思いの場所に並べていく。

これは10番ホールのティーグランド。
左ドッグレッグの打ち下ろしのホール。

オーガスタは、テレビを見ているだけではわからないが、
アップダウンがけっこうきつい。
まずは有名なアーメンコーナーを目指す。

アーメンコーナーとは、11番・12番・13番ホールのこと。
ここはオーガスタの中で最も低い位置にあり、
文字通りコーナーになっている。
難しい11番ホール・パー4のグリーンを背に。

11番ホール・パー4のグリーン。左の池が効いている。
右側に見えるのは12番ホール・パー3のグリーン。

アーメンコーナーを見渡せるギャラリースタンド。
11番のグリーンと、12番、13番のティーグランドが一望できる。
11番、12番のグリーンと、13番のティーグランドにはパトロンは入れない。
みんなこのスタンドから見るのだ。

美しい12番パー3のグリーン。
この年の最終日、ジョーダン・スピースがこの池に2発打ち込んだ。
右奥に見えるのが、13番ホール・パ-5のティーグランド。

コースのところどころに売店がある。
パトロンが入れるレストランはない。
みんな、スナック類を食べて腹を満たす。
また、みんなビールを飲むので、トイレは長蛇の列となる。

名物16番ホール・パー3。
この年の最終日、ホールインワンが3回あった。

練習ラウンドでは水切りショットが恒例となっている。
通常のティーグランドからショットを打ったあと、
プレーヤーは池の端までやってきて、
水切りショットを打つ。

見事、グリーンにオンすれば、
池を取り巻くパトロンたちから惜しみない拍手が贈られる。

これが16番ホール・パー3をグリーン側から見た景色。

7番ホールのフェアウエイを横切るクロスウエイで記念撮影。

最終18番ホール・パー4のセカンド地点からグリーンを望む。
けっこうな上りだ。

18番ホールのセカンド地点から見たティーグランド。
テレビ中継だと両側の林がせり立っているように見えるが、
実際にはけっこう開けている。

コースをぐるっと回ってきて、スタート地点に戻る。
練習グリーンを出て、練習ラウンドに向かうローリー・マキロイ。

これはダスティン・ジョンソン。

練習グリーンでのフィル・ミケルソン。

マスターズグッズを身につけ、パー3コンテストを観戦する怪しいにわかパトロン(笑)

かくして、オーガスタの初日は終わった。
オーガスタは美しい。
そして広かった。

翌日から予選ラウンドが始まる。
興奮はしていたが、疲れがそれを上回り、心地よい眠りについた。

予選ラウンド以降は、カメラはおろかスマホも持ち込みは禁止。
写真は1枚もない。

予選ラウンド初日は、おもな選手のスタートを見届けた。
とにかくティーショットの飛距離のすごさにびっくり。
見たこともない弾道でボールが飛んでいくのだ。

しばらく1番ホールのティーグランドにいたあとは、
ミケルソンについていった。
しかし、1番ホールからアップダウンの連続で、すぐに疲れてしまい、
思うように観戦できなかった。

2日目は、松山英樹を追いかけた。
ツアー参加者の多くも松山の組についていて、
さながら日本のゴルフの試合のようだった。

予選1日目のスターティングリスト

予選2日目のスターティングリスト

決勝1日目のスターティングリスト

最終日のスターティングリスト

ヤーデージブック

これが入場パス。

ホテルの部屋に掲示された案内。
最終日の予定が書かれている。
ホテルとコースは離れているので、とても徒歩では移動できない。
なので、帰りはピックアップ時刻厳守である。

最終日、松山英樹の逆転優勝を願い、表彰式まで見届ける気満々で出発した。
18番のグリーンのまわりに椅子を置く作戦だったが、
着いたときにはすでにいっぱいで椅子は置けず。
やむなく、18番のティーグランドの横に椅子を置いた。
嫁はそのまま選手がやってくるのを待つことに。
私は松山の組を追いかけるため、椅子を置いたまま1番ホールへ。
ところが松山選手、6番パー3でダブルボギーを打って沈没。
私の心も折れ、そのままコースをあとにして、最初のピックアップでホテルへ帰ってしまった。
続きはホテルの部屋のテレビで観戦という、
いま思えばもったいないことをした。
しかし、テレビ中継でホールインワンの録画を見ることもできたし、
スピースの池ポチャ2連発も見ることができた。
が、それは日本でテレビ中継を見ていても同じだった。

一方嫁は、表彰式まで見届けて帰ってきた。
途中は、18番のティーグランドの横に置いた椅子で寝ていたらしい。
テレビ中継だと、18番ホールは後方からの引きの映像でとらえることが多いが、
椅子で寝ていた嫁が映っていたかもしれない。
帰りは早朝にオーガスタを発つ便に搭乗した。

シャーロット、シカゴと乗り継いで、成田へ無事帰国。
一度行くと、また行きたくなる。
それがマスターズだ。