大奥の奥にあるもの

作家の大江健三郎さんが亡くなりましたね。

大江先生の「セブンティーン」や「万延元年のフットボール」など色々と読みましたが、

個人的な体験から言えば、やはり「飼育」です。

人間の嫌な部分をあけすけにした傑作ですが、

当時、最年少で芥川賞を受賞したことでも話題になりました。



日本の文学賞といえば芥川賞と直木賞が有名ですが、

その違いを気にしたことはあまりないのではないでしょうか。

一応、芥川賞は純文学に直木賞は娯楽性の強い大衆文学に贈られる賞とされています。

ちなみに、純文学とは読者を喜ばせることよりも作家が己の必要性によって書いた作品のことで、

作家自身のパーソナルな問題やもっと根源的な社会問題などが作品の根底に流れています。

それに対して、大衆文学とはエンタメ要素が強い物語のことで、

日本の文壇は純文学を特別なものとして扱っています。


しかし!!!


純文学であってもエンタメ要素がなければ売れませんし、文壇でも評価は得られないでしょう。

反対に、大衆文学にも人間のもつ根源的な問題を描いた作品は少なくありませんし、

それによって、物語に深みが生まれると思うのです。



漫画を、物語のエンタメ要素を増し増しにした娯楽作品とするなら、

活字文化ではこれ以上ない最強のコンテンツだと思います。

しっれと人間の闇を描きながら、ぱっとみは娯楽性の高い作品は枚挙にいとまがありません。

攻殻機動隊やEDENのような小難しいものだけでなく、

北斗の拳やジョジョの奇妙な冒険だってそうです。(どれも古い)

ところが、その漫画を原作としたドラマや映画となれば話は別で、なかなかうまくいかないですよね。


ジャッキーチェンが主演だったシティーハンターは本当にひどかった。

ひどすぎて、一周まわってこれはこれでありか???と勘違いするほどです。

「オレ、冴羽獠。人呼んでシティーハンター。」という冒頭のセリフ。

中国語で聞いた人は必ずずっこけます。「してぃはんたぁ~」って。

三上博史が主演だった孔雀王に登場する、最恐最悪ラスボス「かいましょうげじん」。

よくみると、全身を黒く塗ったパンツ一丁のおっさんです。

全然怖くありません。ユンピョウとか必死になって戦っているけどコメディです。


閑話休題


「漫画原作だけど、このドラマは面白いからみた方がいいよ」

と何度も勧めてくるパートナーに根負けして、録りためてあった大奥をみたのです。


万里小路有功さま=福士蒼汰くんに速攻やられました。。。

家光編が終わった瞬間から、有功さまロスです。(笑)


福士くんをはじめ、脇をかためる男性陣もいいんですが、大奥ですからね。

やっぱり、家光・綱吉・吉宗・家重を演じる女性陣にはそれぞれ異なる個性と花があって、

「もう、何回泣かせんだよ~」といい歳した夫婦が毎話ぽろぽろ泣いています。

まだの人はぜひ! 我が家では早くも年間最高ドラマに認定されました。(笑)


特に、家重。

攻めの姿勢をくずさないNHKを体現した見事なキャラクターに、号泣!!!

障がいのある家重を描きつつ、障がいのある子をもつ家族の心情をしっかりと捉えていて、

我がことのように胸が苦しくなったLady_stardustなのでした。

次の記事

54個の手裏剣