読書のこと

本屋とか本が好きな、ばんです。もちろん、読書も好きです。
寒い日が続いています。みなさんお元気ですか?

寒空の下、手袋をしていると思い出すことがあります。
あれは何年前のことだったでしょうか。帰宅中の私は通勤電車の中で本を読んでいました。

何を読んでいたのかは覚えていません。
ただ、なにやらいい話だったらしく、私は感動して涙ぐんでしまったのです。
うるうるっというかわいらしいものではなく、だばぁっという感じのいきおいがありました。
乗客もまばらな車両に連続してひびく、私の鼻をすする音。
さすがに恥ずかしかったので、ハンカチを取り出そうと急いで鞄の中を手探りしました。
サッと取り出して目頭に当てた感触には違和感が…。

お察しの通り、私が鞄から出して涙を拭ったのは、手袋でした。

大慌てでもう一度鞄の中に手を突っ込んで引っ張り出したものは、もう片方の手袋でした。

三度目にしてやっとハンカチを取り出し、涙と鼻水を拭き取ったころには、私の感動はどこかへ行ってしまい、自分のお馬鹿な行動を喜ぶニヤニヤ笑いしか残っていませんでした。

あのとき鞄から出てきた手袋は、今でも愛用しています。